東京部長倶楽部の山木のぼるです。
「会議が多すぎる」という声は、多くの会社で聞かれます。そこで会議を半分にする目標を掲げても、しばらくすると元へ戻るか、会議の代わりに長い報告書や大量のチャットが増えます。
会議を減らすこと自体が目的になると、必要な対話や意思決定まで失われます。反対に、何も見直さなければ、考える時間と実行する時間が会議に奪われ続けます。
会議は増えやすく、なくなりにくい
新しい問題が起きると、情報を共有し、関係者を集めるために会議が作られます。その時には理由があります。しかし、問題が落ち着いても、会議だけが残ります。
参加することが仕事になり、「以前からある」「関係者が不安になる」「念のため呼んでおく」という理由で人数と頻度が維持されます。長く続くほど、会議をやめることに説明が必要になります。
ゼロベースで再認定する
今回のHBR論文は、会議を所与の前提とせず、投入時間と生み出す価値を問い直す引き算の考え方を示しています。
会議ごとに、何を決めるのか、どの対話が必要なのか、誰が参加すべきか、どの頻度が適切かを確認します。その結果に応じて、廃止、参加者の削減、頻度の低下、時間短縮、非同期への移行を選びます。
前年の予定表を今年も繰り返すのではなく、すべての会議へ改めて存在理由を求めるのです。
情報共有と、意思決定を分ける
資料を順番に読み上げるだけなら、文書や短い動画、共有画面で済む場合があります。一方、利害が異なる人の意見を聞く、曖昧な情報から判断する、関係者の納得をつくる仕事は、対話が必要です。
情報を受け取る時間と、考えをぶつけて決める時間を分けると、会議でしかできないことが明確になります。事前資料を増やしすぎて、読む時間が会議時間を上回るようでは意味がありません。伝える量そのものも減らします。
参加者は「知っている方がよい人」ではなく「その場で必要な人」
関係者全員を呼べば安心ですが、一人一人の時間を奪います。決める人、専門的な意見が必要な人、実行責任を持つ人を中心にします。結果を知ればよい人には、決定事項と理由を後から共有します。
ただし、人数を減らすことで情報格差や疎外感が生まれないよう、記録の場所、質問や異論を上げる経路、決定の見直し条件を明確にします。
空いた時間の使い道を先に決める
会議を一時間減らしても、その時間が別の報告やメールで埋まれば、生産性は変わりません。削減によって生まれた時間を、顧客との対話、部下の支援、重要な判断、将来の仕事、集中して考える時間へ戻します。
会議の削減数ではなく、価値の高い仕事へ何時間を移せたかを見るべきです。引き算は、余白を作るためではなく、重要な仕事へ資源を再配分するために行います。
削減後の副作用を確かめる
会議をなくした直後は問題がなくても、意思決定が遅くなったり、一部の人だけが情報を持ったりすることがあります。削減して終わらず、一カ月後、三カ月後に確認します。
決定速度、手戻り、情報格差、顧客対応、メンバーの負担に悪化がないかを見る。問題があれば、元へ戻すのではなく、目的に合う新しい方法を設計します。
残した会議の質を上げる
情報共有を減らせば、残した会議では本当に難しい判断や部門を越えた対話へ時間を使えます。議題ごとに「共有」「相談」「決定」を示し、終了時には誰が何をいつまでに行うかを確認します。
会議を少なくすることと、組織の対話を豊かにすることは両立します。大切なのは、集まる時間を、本当に集まる価値のある仕事へ使うことです。
最初の一歩
定例会議を一つ選び、目的、そこで決めること、必要参加者、年間投入時間、非同期で代替できる部分を書き出してください。一カ月だけ人数、頻度、時間のいずれかを縮小し、空いた時間を何へ使うかも先に決めます。終了後、決定速度や情報格差への影響を確認しましょう。
編集注:本稿は、HBR論文「無駄な会議を特定し、劇的に減らす5つの方法」を手掛かりに、論文原文を転載せず、会議の引き算を重要な仕事への時間再配分へつなげる観点から再構成したものです。

