東京部長倶楽部の山木のぼるです。
締切前になって初めて成果物を見せたところ、「欲しかったものと違う」と言われる。そこから作り直しになり、別の重要な仕事まで圧迫される。これは本人の能力や努力だけの問題ではありません。依頼を受けた時点で、相手が期待した成果と、自分が想定した成果を十分に合わせていなかったのです。
締切は、途中で期待を管理する
締切仕事では、期間の半分までに8割のたたき台をつくり、相手へ見せます。ここでいう8割とは、文章や見栄えが8割完成したという意味ではありません。目的、全体構成、主要な判断、残る論点が見え、相手が「この方向でよい」「ここが違う」と言える状態です。
早く見せれば修正は小さく済みます。締切直前に見せれば、同じ指摘でも全体の作り直しになります。
最初に確認するのは、作業ではなく成功条件
依頼を受けたら、何を作るかだけでなく、何のために使うのか、誰が読むのか、どの判断に使うのか、いつまでにどの水準が必要かを確認します。
依頼者自身も、完成形を明確に描けていないことがあります。その場合は長く考え込むより、粗くても早い案を出した方が、対話を通じて期待を具体化できます。
早い粗案と、遅い粗案は同じではない
翌日に出した粗案は、依頼者も検討材料として受け取れます。三週間後に同じ粗案を出せば、「三週間かけてこの程度か」と感じます。時間の経過とともに、相手の期待値は上がるからです。
完成度だけでなく、いつ見せるかが評価と手戻りを左右します。確認日を途中に置けば、部下にとっても相談のきっかけができ、問題を一人で抱え込まずに済みます。
飛び込み仕事を予定に入れる
部下からの相談、顧客対応、トラブルなどの飛び込み仕事はなくなりません。一定期間、実際に使った時間を記録し、その分の余白を予定へ入れます。
予定を100%埋めれば、突発対応が入るたびに締切仕事が後ろへずれます。部長の仕事は、予定を埋めることではなく、予定外を含めても成果が出る容量を設計することです。
難しい条件は、受けた時に交渉する
納期、範囲、品質、使える人員に無理があるなら、依頼を受けた時に交渉します。「この範囲なら二週間、全体なら四週間」と選択肢を示せば、相手も優先順位を決められます。締切当日の延長依頼より、できない条件を早く明確にする方が信頼につながります。
最初の一歩
現在抱えている締切仕事を一つ選び、目的、利用者、成果物、期限、成功条件を一文ずつ書いてください。次に、全期間の半分の日を「8割確認日」として予定へ入れます。その日までに、方向を判断できるたたき台を見せる。この一手で、締切直前の大きな手戻りは大幅に減らせます。
編集注:本稿は、会員向け『部長になろう』の優先順位・期待管理に関する実践知を、一般公開用として再構成したものです。

