リモートワークを一時対応で終わらせない――長期運用を設計する

リモートワークを一時対応で終わらせない――長期運用を設計する

東京部長倶楽部の山木のぼるです。

【緊急避難と長期運用は、同じ設計では続かない】

この半年、在宅勤務は感染を避けながら事業を続けるための緊急策として広がりました。短期間なら、社員の工夫と既存の人間関係で乗り切れます。しかし長期化すると、新人が相談相手をつくれない、部門間の偶然の会話が減る、評価が目立つ人へ偏るといった問題が表れます。単に在宅勤務を延長するだけでは、見えにくい組織能力が少しずつ失われます。

【結論――働く場所ではなく、仕事の目的から決める】

出社か在宅かを先に議論すると、好みと公平感の衝突になります。部長が先に確認すべきなのは、顧客へどんな価値を届け、そのために誰が、どの頻度で、どのように協働する必要があるかです。場所は、その目的を実現するための手段として決めます。

仕事を三つに分ける

第一は、一人で集中して進められる仕事です。分析、文書作成、設計などは、遠隔の方が集中できる場合があります。第二は、情報を同時に持ち寄り判断する仕事です。オンライン会議でもできますが、事前資料と決定権が必要です。第三は、信頼形成、育成、曖昧な問題の探索など、対面の効果が高い仕事です。この三つを混ぜたまま、一律の出社日数を決めてはいけません。

職場の意味を定義する

オフィスを「勤務していることを確認する場所」に戻せば、出社は形骸化します。対面で行う日は、難しい議論、新人の支援、部門横断の関係づくりなど、集まる価値を明確にします。出社したのに各自がオンライン会議を続けるなら、設計を見直す必要があります。

評価を見える行動から成果へ移す

在宅勤務では、長く席にいる人や発言の多い人を高く評価する慣行が通用しません。期待する成果、判断の質、チームへの貢献を事前に示し、定期的な対話で進捗と支援を確認します。監視ソフトで安心を得ようとすると、信頼と自律を損ないます。

新人と異動者には別の仕組みが要る

既存の関係がある人と、組織へ入ったばかりの人では条件が違います。相談相手を決める、仕事の背景を説明する、短い振り返りを増やすなど、暗黙知へアクセスする仕組みを意図的につくります。

制度は試して更新する

長期的な働き方に最初から完全な正解はありません。顧客への影響、成果、離職、学習、社員の負担を観察し、三か月ごとに見直します。個人の希望だけでなく、組織として何が失われ、何が高まったかを確認します。

リモートワークは福利厚生でも、単なる経費削減でもありません。顧客価値、役割、意思決定、育成を組み直す経営課題です。部長が設計すべきなのは出社日数ではなく、人が離れていても成果と学習が続く組織です。

出典:マーク・W・ジョンソン「あなたの会社に長期的なリモートワークの計画はありますか?」DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(2020年9月9日)。本稿は同記事を参考に独自に再構成しました。

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