東京部長倶楽部の山木のぼるです。
営業部門には売上や利益があります。一方、バックオフィスでは「何をもって良い仕事とするか」を数字で示しにくく、忙しく働いていても、改善したのかが見えないことがあります。
今回は、完璧な指標を待たずに数値化を始め、前年より改善が進んだと報告されたバックオフィス部門の事例をご紹介します。
「数値化しにくい」を、そのままにしない
この部門では、前年度に準備を始め、当年度から仕事の目標を数値で見えるようにしました。本人は、まだ「これが正解」といえる目標設定ではないと認めながらも、前年と比べて改善が進んだと振り返っています。
最初から完璧な指標を作ろうとすると、議論だけが続きます。まず仮の数字を置き、実際の行動と結果を見て修正する。その順序だからこそ、数値化が現場の改善につながります。
件数だけを追うと、品質が犠牲になる
バックオフィスで扱いやすい数字は、処理件数、所要時間、期限遵守率などです。しかし、件数だけを目標にすると、早く終わらせるために確認が粗くなり、手戻りが増えることがあります。
この部門では、件数をポイント化する一方、出戻りの件数も組み合わせました。量だけを増やして品質を落とせば、もう一つの指標に表れます。
大切なのは、数字を増やすことではなく、望ましい仕事の状態を複数の角度から捉えることです。量と質、速さと正確さ、効率と利用者満足など、片方を追うともう片方が悪化し得る組み合わせを考えます。
年一回ではなく、短い周期で確かめる
目標を数値化しても、期末に一度だけ確認するのでは改善が遅れます。この部門では、数字と事実を毎週確認し、上司の期待と本人の実績がずれていないかを話し合う運用を始めました。
短い周期で見ると、「件数は増えたが出戻りも増えた」「時間は短くなったが問い合わせが増えた」といった変化に早く気づけます。指標が現実を正しく表していなければ、評価する人を責めるのではなく、指標そのものを直せます。
数字は、評価の武器ではなく対話の共通言語
数字を導入すると、部下を細かく管理したくなることがあります。しかし、目的は監視ではありません。
「なぜこの数字になったのか」「どこで仕事が滞ったのか」「利用者にどんな変化があったのか」を、同じ事実を見ながら話すために使います。本人が数字の意味を説明し、改善案を提案できる状態をつくることが重要です。
指標が目標になると、数字を良く見せる行動が起きます。部長は、数字の変化だけでなく、顧客、現場、他部門にどのような影響が出たかも確かめなければなりません。
改善したら、指標も改善する
一度決めた指標を固定すると、仕事の変化に合わなくなります。処理が安定したら、次は品質や再発防止へ重点を移す。自動化が進んだら、件数ではなく例外対応や利用者への価値を見る。このように、組織の成熟に合わせて指標も変えます。
数値目標は現場を縛るためのものではなく、より良い仕事の仕方を発見するための仮説です。使って、確かめて、修正する循環に置くことで、バックオフィスの仕事が組織の成果とつながります。
最初の一歩
自部署の仕事を一つ選び、「量」「時間」「品質」「利用者への影響」の四つから、現在取得できる数字を一つずつ挙げてください。
最初は二つだけで構いません。片方を良くすると、もう片方が悪化しないかを毎週確認し、一カ月後に指標自体を見直します。完璧に測れるまで待たず、測りながら学ぶことが最初の一歩です。
編集注:本記事は2026年の個別セッション記録をもとに、本人、勤務先、部門固有の制度、外部支援先を特定できないよう匿名化・再構成しています。改善については本人の報告に基づくもので、数値化だけとの直接的な因果関係や具体的な改善率を示すものではありません。

