評価面談を「採点の場」から「次の機会をつくる場」へ――準備を変えた社員が管理職候補育成へ進んだ実話

評価面談を「採点の場」から「次の機会をつくる場」へ――準備を変えた社員が管理職候補育成へ進んだ実話

東京部長倶楽部の山木のぼるです。

 評価面談を、会社から点数をつけられる場だと考えていないでしょうか。もちろん、評価を確認する場ではあります。しかし準備の仕方を変えれば、自分の仕事の価値を上司と共有し、次に期待される役割を明らかにする場にもなります。

 今回は、ある会社員の方が評価面談の準備を見直し、その後、管理職候補向けの育成機会へ進んだ実話をご紹介します。

面談の前に、伝える内容と聞くことを準備する

 この方は、秋の中間評価を前に、評価シートの書き方と面談で伝える内容を具体的に整理しました。

 取り組んだのは、自分を高く見せるための自己アピールではありません。これまで何に取り組み、何が良く、何を改善する必要があり、その経験を次の仕事にどう生かしたいのかを、事実に沿って準備しました。上司に確認したいこともあらかじめ言葉にしました。

 未経験で担当した仕事についても、「経験がない」という弱みに目を向けるだけでなく、顧客との対話、学ぶ姿勢、考える力を使って、どのように仕事を前へ進めてきたかを振り返りました。

自己評価を上回る上司評価になった

 面談後、本人から嬉しい報告がありました。事前につけていた自己評価よりも、上司評価がすべての項目でプラス方向になったのです。

 良かった点と改善すべき点を整理した資料を使って話した結果、予定されていた30分の面談は45分まで続きました。上司からは「半年前より期待が高くなっている」と伝えられ、未経験の分野でも、顧客との対話、学習姿勢、物事を考える力が評価されました。

 ただし、資料を作れば評価が上がる、という話ではありません。重要なのは、本人が自分の仕事を振り返り、上司が判断できる具体的な事実と、今後の成長課題を言葉にしたことです。それによって、面談が点数の確認ではなく、互いの認識を深める対話になりました。

評価面談は、次の期待をそろえる場である

 評価には、過去の成果を確認する役割があります。しかし、それだけでは十分ではありません。

 本人は、自分の仕事が組織にどのような価値をもたらしたのか。上司は、本人のどこを評価し、次に何を期待しているのか。この二つが一致して初めて、評価が次の行動につながります。

 部長にとっても、評価面談は点数を説明する場ではありません。部下が自分の強みと課題を理解し、次の役割へ進むための成長設計を一緒に考える場です。

翌年、管理職候補向けの選抜研修へ

 翌年、この方は、2〜3年後のマネージャー候補を対象とする選抜研修へ参加することになりました。

 研修では、インバスケット演習、個別面談演習、グループ面談演習などに取り組み、人事、上司、外部専門家を交えた面談も行われました。論理性や考え方の確かさが評価される一方、今後は発信力、推進力、決断力を高めるとよいという、次の成長課題も示されました。

 評価面談の改善だけが研修選抜の理由だったと断定することはできません。また、この時点で管理職への昇進が決まったわけでもありません。

 それでも、本人の実績と成長課題が上司に具体的に伝わり、次の育成機会へ接続されたことは確かです。評価が、本人の自覚、上司との関係、次の挑戦をつなぐ役割を果たした事例だといえます。

部長は、評価の先にある機会を設計する

 部下を評価するだけなら、評価シートを埋めることはできます。しかし、部下が次の役割へ進めるかどうかは、評価結果をどのような経験や機会へつなぐかで変わります。

 何ができるようになったのか。次に伸ばすべき力は何か。その力を実際の仕事で試すには、どのような役割を任せればよいのか。ここまで考えて初めて、評価が人材育成になります。

最初の一歩

 次の評価面談までに、「達成した成果」「組織への貢献」「そこから学んだこと」「次に担いたい役割」の四つを、一枚に整理してみてください。

 部下との面談で使う場合は、部長が答えを与える前に、まず本人の言葉で四つを説明してもらいます。評価点の交渉ではなく、現在地と次の成長機会を共有する対話へ変えることが、最初の一歩です。

編集注:本記事は2020年から2021年に行われた個別セッションの記録をもとに、本人および勤務先を特定できないよう匿名化・再構成しています。評価面談と研修選抜の直接的な因果関係や、その後の管理職昇進を示すものではありません。

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