東京部長倶楽部の山木のぼるです。
【評価表を変えても、評価の体験は変わらないことがある】
多くの会社で、人事評価は年に一度か二度、目標の達成度を確認し、評点やランクを決める仕組みです。一定の公平性を保つために必要な面もあります。しかし、面談が過去の採点結果を伝える場になると、本人は数字の根拠を守ることに集中し、上司は説明責任を果たすことに集中します。次に何を変えるかという本来の対話が後回しになります。
2018年に紹介されたGEの事例では、長く知られた9ブロックによる格付けを見直し、継続的な対話と成長を重視する「パフォーマンス・デベロップメント」への移行が語られました。重要なのは、特定企業の制度をそのまままねることではありません。事業や働き方が変わる中で、評価を何のために行うのかを問い直した点です。
【結論――評価の目的は、次の能力発揮をつくること】
評価が成功したかどうかは、本人が点数に納得したかだけでは測れません。面談後に、自分への期待、伸ばすべき力、上司から得られる支援が明確になり、次の行動が始まったかを見ます。
期待を期初だけで終わらせない
期初に設定した目標も、市場や組織の状況が変われば意味が変わります。月次や四半期の対話で、何を優先するか、なぜ重要かを更新します。目標を変えることを失敗とせず、前提の変化へ対応した判断として記録します。
印象ではなく事実を扱う
面談直前の出来事や目立つ失敗だけで人を判断すると、評価は不安定になります。顧客への貢献、判断、協働、改善など、日常で観察した事実を短く残します。本人にも、自分が何を工夫し、何が結果へつながったかを振り返ってもらいます。
弱点の指摘だけで終わらせない
改善点を伝えるなら、期待する状態と支援方法を合わせて示します。「もっと主体的に」では行動へ移せません。「次の会議では、選択肢を二つ用意し、自分の推奨案を先に述べる」のように、観察できる行動へ落とします。
上司も約束する
成長を本人だけの責任にしないことが大切です。挑戦する仕事を渡す、必要な人を紹介する、途中で助言するなど、上司が提供する機会を明確にします。次の対話では、本人の行動だけでなく上司の支援も確認します。
制度より管理職の質を整える
新しい評価シートや名称を導入しても、管理職が年一回しか話さなければ何も変わりません。部長は、自分の部門でどの頻度で何を話すかをそろえ、評価者同士で事実の見方を学びます。制度変更は、対話を変えるための手段です。
格付けをなくすか残すかは、会社ごとの判断です。しかし、どの制度でも、社員を過去の結果に固定せず、次の能力発揮へつなぐことはできます。評価を「決める仕事」から「育てて成果を出す仕事」へ戻す。それが部長の役割です。
出典:HITO-Link/パーソル総合研究所「GEが9ブロックを廃止した理由。新たな人事評価制度『PD』の導入によって生まれ始めた変化とは。」(2018年9月18日)。本稿は同インタビューを参考に独自に再構成しました。

