会社員でありながら、26年続ける力――本業と挑戦を両立する人に学ぶ

会社員でありながら、26年続ける力――本業と挑戦を両立する人に学ぶ

東京部長倶楽部の山木のぼるです。

 「あれから、もう二年もたったのか」

 二年に一度の舞台の案内を受け取るたび、私はそう感じていました。時間は驚くほど早く過ぎます。しかし、その人は、会社で管理職として働きながら、二年ごとに一人で舞台へ立つ活動を26年間続けていました。しかも、同じ内容を繰り返すのではなく、毎回きちんと準備し、内容を更新し、自分の現在地を観客へ示していたのです。

 仕事が忙しいことを、私はよく知っています。責任が大きくなるほど、自分の時間は細切れになります。部下の相談、上司への報告、予期しない問題への対応。気がつけば一週間、一カ月、一年が過ぎています。「少し余裕ができたら始めよう」と考えているうちに、その余裕はなかなか訪れません。

会社員でありながら、挑戦を続ける

 だからこそ、本業とは別の挑戦を長く続けている人を見ると、私は大きな勇気をもらいます。それは、会社を辞めなければ自分らしく生きられない、という話ではありません。組織人として責任を果たしながら、自分が大切にするテーマも育てられるという事実です。

長く続けることが仕事へ返すもの

 長く続ける活動は、趣味という言葉だけでは説明しきれない力を仕事へ返してくれます。

 第一に、自分で目標を決め、準備し、本番を迎える経験ができます。会社の仕事では、目標や期限が外から与えられることも多いものです。一方、自分で選んだ活動では、誰かに言われなくても練習し、改善しなければなりません。この自己管理の積み重ねは、仕事にも表れます。

 第二に、成長を長い時間軸で考えられるようになります。一度の成功や失敗で自分を決めず、次の機会までに何を磨くかを考える。毎回少しずつ内容を更新する姿勢は、変化の激しい仕事にも通じます。大きな成果は、突然現れるのではなく、小さな改善の積み重ねで生まれることを体で理解できるからです。

 第三に、会社の肩書きとは異なる人間関係ができます。そこでは、役職ではなく、何に向き合い、どのように続けているかが見られます。異なる世代や職業の人と接することで、組織の常識だけに閉じない視点も得られます。

 そしてもう一つ大切なのは、続ける人の姿が周囲を動かすことです。26年間、手を抜かずに取り組む人がいれば、自然に応援する人が現れます。応援されるのは、華やかな結果があるからだけではありません。ぶれずに準備を重ね、その時々で自分なりの力を出し切る姿勢が伝わるからです。

続ける時間を、先に置く

 もちろん、誰もが大きな舞台を目指す必要はありません。家族や健康を犠牲にして続けることでもありません。読書、音楽、スポーツ、地域活動、研究、ものづくりなど、自分が長く向き合いたいテーマでよいのです。頻度も毎日である必要はありません。大切なのは、空いた時間に行うのではなく、続けるための時間を先に置くことです。

 まず、これから一年間、仕事と並行して続けたいテーマを一つ書いてください。そして、次に取り組む日を予定表へ入れてみてください。30分でも構いません。一回の長さより、次の一回が決まっていることの方が重要です。

 組織人としての成功と、自分自身の挑戦は、どちらか一つを選ぶものではありません。自分で選んだテーマを育てることで得た活力、忍耐、視点は、仕事にも戻ってきます。本業を大切にしながら、自分の道も歩く。その積み重ねが、長い会社人生をより豊かなものにしてくれると私は思います。

編集注:本記事は、会社で管理職を務めながら社外の専門活動を26年間継続していた人物について、山木が2018年10月に作成した案内文をもとに、2026年10月に一般公開用として再構成したものです。本人名、勤務先、連絡先、会場等の個人情報は掲載していません。

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