「部長になろう」を学ぶと、仕事の見え方はどう変わるか――参加者の声に表れた5つの変化

「部長になろう」を学ぶと、仕事の見え方はどう変わるか――参加者の声に表れた5つの変化

東京部長倶楽部の山木のぼるです。

 「なぜ、部長になろうなのですか」。この問いに、単に昇進した方がよいから、と答えるつもりはありません。2019年に行った学びの場では、参加者から、意味のある目標、課長と部長の違い、フォロワーづくり、後継者育成、そして組織で働く面白さについて、さまざまな気づきが寄せられました。特定の一人の言葉ではなく、そこに共通していたものを振り返ると、「部長になろう」という言葉に込めた意味が見えてきます。

肩書きを得ることが目的ではない

 部長になることは、名刺の肩書きや待遇を得ることではありません。自分の担当業務で成果を出す人から、複数の仕事と人をつなぎ、組織として成果が出る状態をつくる人へ、役割を転換することです。課長より部長の方が人として上だ、という話でもありません。見なければならない範囲と、引き受ける責任の性質が変わるのです。

 自分の部署だけを守れば、別の部署にしわ寄せが生じることがあります。目の前の数字だけを追えば、将来必要な人材や信頼を失うこともあります。部長には、会社全体の目的と現場の事情を往復しながら、何を優先し、何をやめ、誰と協力するかを決める役割があります。

数字を「意味のある目標」に変える

 売上、利益、生産性、納期。組織には数字が必要です。しかし、数字を伝えるだけでは、人は自分の仕事とのつながりを見いだせません。「なぜ、この目標が必要なのか」「達成すると、顧客や仲間にどんな良い変化が起きるのか」「自分たちの仕事は、会社全体のどこを支えているのか」。これを自分の言葉で説明するのが部長の仕事です。

 会社の方針をそのまま下へ流すだけでも、現場の要望をそのまま上へ上げるだけでも足りません。方針の背景を理解し、現場が動ける言葉と順序に翻訳する。現場で得た事実を、経営が判断できる情報にして戻す。この双方向の翻訳に、部長の付加価値があります。

フォロワーは、役職だけでは生まれない

 役職があれば指示はできます。しかし、人が「この人と一緒に進みたい」と思うかどうかは別です。フォロワーは、立派な話をするだけでは生まれません。判断の理由を開き、困った時に責任を引き受け、成果を周囲の手柄として認める。そうした日々の積み重ねが信頼になります。

 同時に、自分がいなくても組織が前へ進めるよう、次の人を育てる必要があります。重要な仕事を抱え込む人は、一見頼もしく見えますが、組織の成長を止めてしまいます。任せ、支え、振り返り、少しずつ判断の範囲を広げる。後継者が育つことは、自分の居場所を失うことではなく、より大きな仕事へ進める証拠です。

組織で働くからこそ、できることがある

 一人では実現できないことを、異なる専門性や経験を持つ人と実現できる。これが組織で働く面白さです。部長は、誰よりも詳しい専門家である必要はありません。専門家が力を発揮できる目的、関係、仕組みを整え、個々の力を組織の成果へ結びつけます。

 「部長になろう」とは、出世を勧める掛け声ではありません。自分の成功だけでなく、人が育ち、仕事がつながり、組織全体が前進することに喜びを感じられる人になろう、という提案です。その役割は簡単ではありません。しかし、自分の仕事が多くの人の挑戦を支える手応えは、組織人だからこそ味わえるものです。

最初の一歩

 まず紙に、「私たちの部署の仕事は、誰のどんな価値につながっているか」と一文で書いてみてください。次に、その一文を部下や同僚に見せ、「あなたにはどう見えるか」と尋ねます。答えの違いを知ることが、方針を意味のある目標へ変える最初の一歩です。

編集注:本稿は、2019年に記録した学びの場の素材をもとに、特定の参加者の発言を引用せず、個人を特定できない形で、2026年の東京部長倶楽部の考え方に沿って再構成したものです。

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はじめてのブログです。東京部長クラブの山木のぼると申します。

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