40歳を過ぎて市場価値が高まる人――専門性の掛け算と、推薦される評判

40歳を過ぎて市場価値が高まる人――専門性の掛け算と、推薦される評判

東京部長倶楽部の山木のぼるです。

 「四十歳を過ぎると市場価値が下がる」と聞くことがあります。しかし、年齢そのものが価値を下げるのではありません。長く働いて得た経験が、「この人なら、より大きく複雑な課題を任せられる」という証拠になっているか。それとも、過去の役職と専門知識の中に閉じているか。違いはそこにあります。

三十三歳の課長と、三十八歳の部長待遇

 私は三十三歳で課長になりました。この時に大きかったのは、設計者としての成果だけではありません。主任になった頃、難しい仕事を自分で抱え込み、チームを十分に動かせず失敗しました。その後、仕事の持ち方を変え、概念設計、役割分担、レビュー、部下への支援に力を移しました。

 入社以来、私の仕事を見ていた上司は、成功だけでなく、失敗後に行動を変えた過程も見ていました。「小さな組織を任せられる」という具体的な信頼が、課長への推薦につながったのだと思います。

 その後、三十八歳で部長待遇へ進んだ時には、求められた証拠が違いました。設計部門の実績に加え、全社的な経営革新活動に早い段階で手を挙げ、直属の部門を越えて人を動かし、成果を出した経験が評価されました。専門家として優秀であることと、複数の専門家をつないで会社の課題を進めることは、別の能力です。

四十歳以降、経験が「組み合わせの価値」になった

 さらに、設計、経営革新、マーケティング、購買、工場運営と、異なる職務で成果を積むうち、四十歳を超えた頃から外部のヘッドハンターから声がかかるようになりました。職種を多く経験したからではありません。それぞれの場所で何を変えたかがつながり、「事業と組織を横断して動かせる人」として見えるようになったからです。

 もう一つ大切なのは評判です。当時は、候補者をオンラインで簡単に探せる時代ではなく、仕事を一緒にした人の口コミや推薦が大きな力を持っていました。期限を守る、問題を隠さない、助言を受けて修正する、他部門の成果にも貢献する。こうした日々の行動が、「この人なら任せられる」という言葉になって外へ伝わりました。

市場価値は、転職できる値段だけではない

 市場価値が高いとは、転職の誘いが来ることだけではありません。今の会社でも、難しい課題が起きた時に名前が挙がり、他部門から相談され、次の役割を任せられる状態です。

 四十代以降は、自分が直接つくった成果だけでなく、異なる専門家をつないだか、人を育てたか、自分がいなくても回る仕組みを残したかが重くなります。専門性を捨てるのではありません。専門性を土台にして、顧客、他部門、経営、人材をつなぐ範囲を広げます。

次の役割の証拠は、今の仕事でつくる

 昇進や転職を考えてから実績を集めても遅すぎます。現在の仕事で結果を出しながら、横断プロジェクト、人材育成、変革、他部門支援など、一段上の役割に必要な経験を小さく引き受けます。目立つためではなく、組織の課題を前へ進めるために行動する。その過程を周囲が具体的な事実として語れる時、経験は市場価値へ変わります。

 肩書を外して自分を説明することも大切ですが、説明の言葉だけでは価値は生まれません。問われるのは、複数領域をつないだ実績と、他者が安心して推薦できる評判の両方です。

最初の一歩

 次に目指す役割を一つ決め、その役割で必要な経験を三つ書いてください。まだ証拠のないものを一つ選び、今の職場で引き受けられる小さな横断課題、人材育成、改善活動へ置き換えましょう。

編集注:本稿は山木本人の経験と確認済みのセッション記録をもとに、企業名・関係者・個別案件を特定する情報を一般化して再構成しています。

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