東京部長倶楽部の山木のぼるです。
「いつかは部長になりたい」「将来はもっと大きな仕事をしたい」。そう思っていても、今日の会議、今週の納期、今期の数字を優先するうちに、長期のキャリアは後回しになります。長期目標が役に立たないのではありません。遠い未来の肩書きだけを置き、現在の行動へ翻訳していないことが問題なのです。
長期目標は、未来を当てるためのものではない
組織も事業も変わります。三年後の役職や職務を正確に予測することはできません。それでも、「どのような問題を任されたいか」「誰にどのような価値を届けたいか」「どの範囲まで責任を持ちたいか」は考えられます。長期目標とは、正解の未来図ではなく、目の前の選択を比べるための北極星です。
肩書きを、四つの蓄積へ分解する
例えば部長を目指すなら、役職名だけで終わらせず、今から蓄積できるものへ分けます。第一は、専門を越えて判断するための知識と視座。第二は、複数部門や顧客を巻き込んだ経験。第三は、困った時に相談し合える社内外の関係。第四は、現在の職務から少し外へ出る小さな試行です。
この四つは、異動や昇進を待たなくても始められます。会議で他部門の前提を一つ尋ねる、後輩の仕事を支援する、顧客との対話に同席する、改善案を小さく試す。こうした行動が、遠い目標と現在をつなぎます。
目標は、予定表に入って初めて動き出す
「時間ができたら学ぶ」では、時間はできません。月に一度、長期目標に関係する行動を予定へ先に入れます。そして四半期ごとに、「何を学んだか」「次に何を増やすか」「目標そのものを変える必要はないか」を見直します。進路変更は失敗ではありません。行動から得た事実で、目標を更新した結果です。
現在の仕事を、未来への訓練場にする
長期目標のために、今の仕事をおろそかにしてはいけません。むしろ、今の仕事の中に次の役割の練習を見つけます。担当業務を終えるだけでなく、なぜその仕事が必要かを考える。自分で解くだけでなく、他者が成果を出せる仕組みをつくる。部分の最適だけでなく、組織全体への影響を見る。これが部長への準備になります。
十年後の肩書きは、今日決められません。しかし、今月どの経験を積むかは決められます。まず、三年後に任されたい問題を一文で書き、そのための一歩を予定表へ入れてみてください。
参考:ドリー・クラーク『キャリアの長期目標を定めて、達成するために何をすべきか』DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー、2022年4月27日。

