目標達成で終わらない――増員した組織で部長が見るべきもう一つの数字

目標達成で終わらない――増員した組織で部長が見るべきもう一つの数字

東京部長倶楽部の山木のぼるです。

 部門目標を達成できそうだと分かったとき、まずは努力したメンバーと成果を喜ぶべきです。しかし部長は、そこで確認を終えてはいけません。

 今回は、目標がほぼ達成できる見込みとなった一方で、増員後も成果量が前年並みだったことに気づき、次の改善へ目を向けた管理職の実話をご紹介します。

目標は、ほぼ達成できる見込みになった

 ある小規模な部門で、上半期目標がほぼ達成できる見込みとなりました。本人は、次の期の案件づくりにも早めに着手し、継続して成果を出すための準備を進めていました。

 目標達成は、素直に評価すべき前進です。達成を当然のこととして扱えば、メンバーは自分たちの努力が見られていないと感じます。まず成果を認め、その過程で行った工夫を言葉にすることが大切です。

ところが、人数は増えていた

 本人は、良い報告だけでは終わりませんでした。部門には人員が増えていたものの、成果量は前年とほぼ同じでした。目標は達成しても、投入した人員や経費を考えると、生産性には課題が残ると自ら認識していたのです。

 目標値は、設定された時点の条件を前提にしています。人員、時間、設備、予算が変われば、同じ目標達成でも意味は変わります。結果の数字だけでは、組織が本当に強くなったかまでは分かりません。

成果と投入を、同時に見る

 部長が見るべきなのは、成果だけでも、効率だけでもありません。

 成果を重視しすぎれば、人を増やし続け、長時間労働で数字を作る組織になりかねません。効率だけを追えば、必要な投資をためらい、将来の成長機会を失います。

 売上や処理件数などの成果と、人数、総労働時間、費用などの投入を並べて見る。さらに品質、顧客満足、メンバーの成長、翌期の案件や仕込みも確認する。複数の面から見て初めて、今の成果が持続可能かを判断できます。

増員を「忙しさの吸収」で終わらせない

 人を増やす目的が曖昧だと、既存業務が新しい人数へ広がり、全員が忙しいままになります。

 増員によって何を変えるのかを先に決める必要があります。顧客接点を増やすのか、新しい案件を生み出すのか、作業時間を減らして学習へ回すのか、属人化を解消するのか。期待する変化を具体的にすれば、増員の効果を確認できます。

 今回の事例でも、本人は「なぜこれほど忙しいのか」と業務の見直しへ目を向けました。目標達成を否定するのではなく、その成果をより少ない負担で再現し、次の成長へつなげる視点です。

次の期の仕込みまでが、今期の仕事

 単年度の目標達成だけを追うと、期末に案件を使い切り、翌期をゼロから始めることになります。

 部長は、今期の成果に加えて、次の期に成果を生む案件、改善活動、人材育成がどの程度進んでいるかを見ます。目標を達成しながら、来期の仕込みも残す。それが、偶然ではなく継続的に成果を出す仕組みです。

最初の一歩

 今期の主要目標を一つ選び、前年と今年について「成果」「人数」「総投入時間」「費用」「品質」「翌期の仕込み」を一枚に並べてください。

 目標を達成したかだけでなく、投入に対して何が増え、何が減り、次に何を変えるべきかをチームで話します。成果を称えたうえで改善点を問うことが、次の成長を始める一歩です。

編集注:本記事は2022年の個別セッション記録をもとに、本人、勤務先、業界、組織名、数値等を特定できないよう匿名化・再構成しています。目標は達成見込みであり、最終達成や、その後の生産性改善を示すものではありません。

Related Entry

仕事の意味は、誰の役に立ったかで見えてくる

仕事の意味は、誰の役に立ったかで見えてくる

人事評価を「点付け」から「成長の対話」へ――GEの制度変更から考える

人事評価を「点付け」から「成長の対話」へ――GEの制度変更か...

モチベーションが高い今こそ、理由を言葉にする――新しい仕事を一過性の高揚で終わらせない

モチベーションが高い今こそ、理由を言葉にする――新しい仕事を...

テレワークで部下が見えない――管理を「在席」から「成果と対話」へ変える

テレワークで部下が見えない――管理を「在席」から「成果と対話...

「やらされ仕事」を変えたのは、仕事の目的を語ることだった

「やらされ仕事」を変えたのは、仕事の目的を語ることだった

年次目標を、月次・日次の動きに落とすには

年次目標を、月次・日次の動きに落とすには