東京部長倶楽部の山木のぼるです。
リーダーは未来を語り、マネジャーは現在を管理する。よく使われる区別ですが、現実の部長はどちらか一方だけでは務まりません。正しい方向を示しても実行が粗ければ成果は出ず、正確に実行しても選んだ方向が間違っていれば意味がないからです。
名詞ではなく動作で考える
今回のHBR論文は、リーダーとマネジャーを異なる種類の人として分けるのではなく、「リードする」「マネージする」という動作を状況に応じて使うべきだと論じています。方向、目的、変化を示す力と、計画、実行、細部、安定を担う力は、どの階層にも必要です。
私は、肩書がリーダーをつくるのではないと考えています。組織図に書かれるのは管理上の役割です。人がついてくるのは、目的に共鳴し、日々の行動を信頼するからです。一方、共鳴だけでは仕事は完了しません。役割、期限、判断基準、必要な支援を整える必要があります。
方向を日々の仕事へ翻訳する
「顧客を大切にする」「変革する」と言うだけでは、現場は何を変えるか分かりません。今週の優先順位、やめる仕事、会議で見る数字、誰が判断するかまで落とします。これがマネージする動作です。
反対に、計画どおりに進めることだけを重視すると、前提が変わっても過去の手順を守り続けます。現場の結果を見て、目的と方針そのものを問い直す。これがリードする動作です。
一人で両方を独占しない
部長が常に先頭に立つ必要はありません。専門的な課題では、詳しい部下にリードしてもらい、部長は資源と関係者を整える側へ回ります。危機時には部長が方向を明確にし、平常時には部下へ判断経験を渡します。
自分と異なる強みを持つ副責任者を育てることも大切です。方向づけが得意な人と運営が得意な人が互いに補完できれば、組織は一人の得意不得意に左右されにくくなります。
評価も二つの動作を見る
方針を語ったかだけでなく、仕組みを回し、人を育て、成果を検証したかを見る。逆に、期限を守ったかだけでなく、目的へ疑問を出し、必要な変更を提案したかも見る。両方を評価することで、方向と実行がつながります。
部長の仕事は、リーダーかマネジャーかを選ぶことではありません。大局を小局へ落とし、小局の結果から大局を見直す往復を続けることです。
忙しさではなく、接続を見る
予定が埋まっているかではなく、方針が現場の判断へ落ち、現場の結果が次の方針へ戻っているかを見ます。この接続が切れた場所に、部長が補うべき動作があります。
最初の一歩
先週の予定を「方向づけ」「対話」「業務設計」「フォロー」に分けてください。最も少なかった動作を一つ選び、今週の予定に具体的な時間を置きましょう。
編集注:本稿は、HBR論文「最高のマネジャーは優れたリーダーであり、最高のリーダーは優れたマネジャーでもある」(東京部長倶楽部で2023年10月19日共有)を手掛かりに、論文原文を転載せず、山木の部長観と実践を中心に再構成したものです。

