東京部長倶楽部の山木のぼるです。
部下を承認することが大切だと聞くと、売上達成やプロジェクト成功を褒める場面を思い浮かべます。もちろん成果を認めることは重要です。しかし、成果が出た時だけ声をかける組織では、承認は条件付きになります。
二つの承認を分けて考える
参考にした論考は、成果や業績を認めることと、相手の存在や価値に感謝を示すことを分けています。前者は「何を成し遂げたか」に向けた承認、後者は「あなたがいて、こう支えてくれたこと」に向けた感謝です。
大きな成果は目立ちます。一方、後輩の相談に乗った、他部署との摩擦を和らげた、問題を早く知らせた、繁忙時に仲間を支えたといった貢献は、数字に表れにくいものです。部長がそこを見て言葉にすると、組織が大切にする行動が伝わります。
曖昧な褒め言葉では伝わらない
「いつもありがとう」「よく頑張った」だけでは、何が価値だったか分かりません。事実、影響、感謝の順で伝えます。
例えば、「昨日、品質上の懸念を早い段階で共有してくれた。そのおかげで顧客への影響が出る前に対策できた。言いにくいことを伝えてくれてありがとう」。これなら、本人はどの行動を続けるべきか理解できます。
感謝は低い評価を隠す道具ではない
人として尊重することと、仕事上の改善点を伝えることは両立します。成果が期待に届かなかった時でも、人格を否定する必要はありません。事実に基づいて不足を話し、必要な支援を決める。同時に、誠実な取り組みや周囲への貢献があれば、それも具体的に認めます。
反対に、厳しい話を避けるために感謝だけを伝えると、本人の成長機会を奪います。承認は、評価を甘くすることではなく、人と仕事を分けて丁寧に見ることです。
部長の視線が文化をつくる
何を褒め、何に感謝するかは、部長が組織に送るメッセージです。個人の数字だけを称えれば、協力より競争が強くなります。学び、支援、率直な報告も認めれば、成果の出し方まで共有されます。
今週、目立つ成果ではなく、チームを支えた一人を思い出してください。そして、何が誰にどう役立ったかを具体的に伝えてください。人は評価点だけでなく、自分の仕事が見られ、意味を持っていると分かることで、次の一歩を踏み出せます。
参考:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー/マイク・ロビンズ「従業員は2つの『承認』を求めている」。本記事は同論考を参考に独自に再構成しています。

