予定を埋めるほど、考えられなくなる――創造の余白を守る

予定を埋めるほど、考えられなくなる――創造の余白を守る

東京部長倶楽部の山木のぼるです。

【予定を埋めるほど、考える時間がなくなる】

予定表に空白があると、仕事をしていないように感じる。少し時間が空けば会議を入れ、移動中もメールを返す。忙しく働くことが成果の証明になっている組織では、このような状態が起こります。

【結論――余白は、考える仕事に必要な時間である】

定型業務の時間を短くし、待ちや手戻りを減らすことは重要です。同じ成果を少ない資源で出せれば、顧客にも社員にも価値があります。

しかし、未知の課題を考える仕事まで、処理件数と時間だけで測ると問題が起きます。新しい構想、複雑な人間関係、将来のリスクには、決まった答えがありません。情報を集め、いったん離れて見直し、異なる考えを結びつける時間が必要です。

余白は「何もしない時間」ではない

参考にした論考は、生産性を追いすぎることが創造性を損なう可能性を指摘しています。散歩、雑談、普段と違う分野に触れる時間にも、頭の中では情報の組み替えが起きます。

すぐに成果へ直結しないため削られやすいのですが、前提を疑い、新しい問いを見つけるには、この遠回りが必要です。余白は仕事の反対ではなく、考える仕事の一部です。

部長の予定表が、組織の優先順位を示す

部長が一日中会議に入り、返事を急ぎ、常に目の前の案件を処理していれば、部下も同じ行動を学びます。誰も次の半年を考えず、重要だが緊急でない課題が残ります。

部長は、自分とチームの予定に、振り返り、顧客観察、他部署との対話、学習の時間を意識して確保する必要があります。ただし「自由に考えて」と言うだけでは、忙しい仕事に押し流されます。何を考える時間かを示し、得た気づきを共有する場まで設計します。

余白にも成果責任がある

余白を設けることは、締切や顧客への責任を弱めることではありません。目的のない会議、重複資料、過剰な承認を減らし、考える時間へ振り替えます。そして、余白から生まれた問い、仮説、試したことを短く振り返ります。

すべての時間を自由にする必要はありません。週に30分でも、最近感じた違和感を三つ書き出し、「なぜ起きているのか」「このままでよいか」を考える。そこから次の改善や構想が始まります。

予定を埋めることは簡単です。何のために空けるかを決め、その時間を守ることの方が難しい。短期の効率だけでなく、将来の成果を生む思考の余白を守ることも、部長の重要な仕事です。

参考:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「生産性にこだわりすぎると創造性を殺してしまう」。本稿は同論考を参考に、部長の組織運営として独自に再構成しました。

Related Entry

理念を、現場の「やる・やらない」に変える

理念を、現場の「やる・やらない」に変える

計画どおりに進まない時、部長は何を見るか――PDCAとOODAの使い分け

計画どおりに進まない時、部長は何を見るか――PDCAとOOD...

部長なら、会社を四つの資料で読む――経営の言葉を自部署へ翻訳する

部長なら、会社を四つの資料で読む――経営の言葉を自部署へ翻訳...

三年計画を守るより、一年ごとに問い直す――中計の使い方

三年計画を守るより、一年ごとに問い直す――中計の使い方

一度決めたことを、後から正当化していないか――部長の判断を縛る三つのバイアス

一度決めたことを、後から正当化していないか――部長の判断を縛...

全員賛成の会議を疑う――集団思考を避ける三つの仕掛け

全員賛成の会議を疑う――集団思考を避ける三つの仕掛け