全員賛成の会議を疑う――集団思考を避ける三つの仕掛け

全員賛成の会議を疑う――集団思考を避ける三つの仕掛け

東京部長倶楽部の山木のぼるです。

 会議で全員がすぐ賛成すると、部長は安心します。チームワークがよく、意思決定も速いように見えるからです。しかし、反対意見が出ないことは、十分に考えた証拠とは限りません。部長の考えを察し、違う意見を飲み込んでいる可能性があります。

多様な人を集めるだけでは足りない

 今回のHBR論文は、多様な専門家を集めても、合意を急ぐと現状維持の解決策へ流れやすいと指摘します。集団思考を避ける鍵は、異論を表に出すこと、完成案ではなく仮置きの案を試すこと、方法は未合意でも目的や原則で得た部分的な合意を前進と捉えることです。

 私は、会議の質を参加者の肩書や人数で測ってはいけないと思います。どれほど優秀な人を集めても、部長が最初に結論を言えば、専門家はその結論を補強する役に回りやすくなります。

異論を勇気に任せない

 「何でも自由に言ってください」だけでは、異論は出ません。反対する人が協力的でないと見られる不安があるからです。そこで、会議ごとに「失敗条件を探す人」「顧客の立場から疑問を出す人」「別案をつくる人」を役割として置きます。反対意見を個人の勇気ではなく、仕事にするのです。

完成案ではなく仮置きの案を試す

 最初から正解を求めると、参加者は評価を気にして安全な案しか出さなくなります。仮置きの案として、小さく試せる形にします。試行範囲、守る条件、確認する事実、見直す日を決めれば、合意できない部分を残したままでも動けます。

目的の合意と方法の未合意を分ける

 方法で意見が割れても、解きたい問題や守る原則は共有できることがあります。全員一致を待つのではなく、「目的には合意した。方法は二案を試して比較する」と整理すれば、違いを学習に変えられます。議事録には採用案だけでなく、反対意見、捨てた案、残る不確実性も残します。

 よい会議とは、摩擦のない会議ではありません。人と論点を分け、異論を安全に出し、試行の結果から考えを更新できる会議です。部長の仕事は早く全員を同じ意見にすることではなく、違いをよりよい判断へつなぐことです。

結果だけでなく判断過程を振り返る

 試行が終わったら、採用案の成果だけでなく、どの前提が当たり、どの反対意見が重要だったかを確認します。結果が良くても判断過程が粗ければ、次も同じ成功を再現できません。反対に結果が悪くても、早く前提を修正できたなら学習の価値があります。

最初の一歩

 次の会議では、部長が結論を言う前に「この案が失敗するとしたら何が原因か」を全員から一つずつ集めてください。異論を記録し、最も重要な不確実性を小さな試行で確かめましょう。

編集注:本稿は、HBR論文「集団思考の落とし穴を回避する3つのステップ」(東京部長倶楽部で2023年3月4日共有)を手掛かりに、論文原文を転載せず、山木の組織運営の見解として再構成したものです。

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