東京部長倶楽部の山木のぼるです。
【この春、突然変わった仕事の前提】
この春、多くの会社が十分な準備のないまま在宅勤務へ移りました。オフィスでは短い声かけで済んだ確認が、在宅では予定を合わせなければできません。家庭では子どもの休校、家族の介護、仕事用の机や通信環境など、社員ごとに条件が異なります。それでも管理職が「これまでと同じ時間、同じ反応速度、同じ仕事量」を当然とすると、部下は成果を出す前に消耗します。
【結論――期待を下げるとは、基準をなくすことではない】
ここで必要なのは、成果への期待を捨てることではありません。従来の働き方を前提にした期待をいったん外し、現在の制約の中で守るべき成果を決め直すことです。部長が明確にするのは、「何を最優先するか」「いつまでに、どの状態なら完了か」「困った時に誰へ連絡するか」の三点です。
行動量ではなく成果をそろえる
画面の前に何時間いたか、メールへ何分で返したかは、成果そのものではありません。顧客への回答、意思決定に必要な資料、チームへの引き継ぎなど、仕事が生む結果を確認します。成果が定義されていれば、部下は自分の環境に合わせて働き方を工夫できます。
仕事の優先順位を減らす
非常時に通常時の仕事をすべて維持しようとすると、どれも中途半端になります。「今週、絶対に落としてはいけない仕事は何か」を一つか二つに絞り、延期する仕事も管理職が決めます。優先順位をつける責任を部下だけに負わせてはいけません。
連絡のルールを合意する
常時接続を求めると、在宅勤務は監視に変わります。定例確認の時刻、緊急時の連絡手段、返信が必要な時間幅を決め、それ以外は仕事へ集中できる時間として守ります。連絡が取れない事情を先に共有できる関係も必要です。
配慮と甘さを混同しない
事情を聞くことは、結果を問わないことではありません。達成が難しい時は、期限を変える、範囲を狭める、支援者をつけるなど条件を調整します。約束した成果が出なければ、人格ではなく仕事の条件と進め方を一緒に検証します。
在宅勤務で試されるのは、部下が見えなくても仕事を設計できるかという管理職の力です。勤務場所を管理するのではなく、目的、成果、支援、対話を設計する。この転換は、感染拡大への対応だけでなく、これからの柔軟な働き方の土台にもなります。
出典:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー「マネジャーは在宅勤務者への期待値を下げよう」(2020年7月8日)。本稿は同記事の問題提起を参考に、東京部長倶楽部の観点から独自に再構成したものです。

