東京部長倶楽部の山木のぼるです。
2022年11月、東京部長倶楽部のメンバーへ、Harvard Business Reviewの「企業文化を毀損する『有害なロックスター』の存在を容認すべきではない」を紹介しました。突出した業績を上げる一方で、同僚を威圧し、反対意見を封じ、周囲の協力を失わせる人をどう扱うかという問題です。
論文の要旨
論文は、高業績者の有害な行動を放置すると、その人の数字を上回る損失が組織に広がると指摘します。周囲の意欲低下、心理的安全性の低下、離職、協力関係の悪化など、見えにくいコストまで評価し、行動上の問題を明確に扱う必要があります。ここまでが論文から受け取った要旨です。
個人の数字だけで判断しない
有害な行動の影響は、すぐには業績数字に表れません。周囲が発言しなくなる、悪い情報を早く出さなくなる、助け合いが減る、優秀な人が離職するといった形で、時間をかけて組織を弱くします。
部長は、本人の売上や成果だけでなく、その人が周囲の力を引き出しているのか、逆に損なっているのかまで見なければなりません。
人格ではなく、行動と影響を確認する
「あの人は性格が悪い」と決めつけてはいけません。確認すべきなのは、いつ、どのような言動があり、その結果、仕事や人にどんな影響が出たのかです。
噂だけで判断せず、複数の事実を確認し、相談した人が不利益を受けないよう配慮します。感情的な対立にせず、観察できる行動を基準に扱うことが重要です。
改善の機会と期限を明確にする
問題が確認できたら、本人に期待する行動を具体的に伝えます。「態度を改めてほしい」では曖昧です。「会議で相手の発言を遮らない」「反対意見に対して人格ではなく内容で応答する」など、行動として示します。
改善の期限、支援方法、確認の機会も設定します。必要に応じて人事部門と連携し、就業規則と適正な手順に沿って進めます。
「代わりがいない」をなくす
一人に顧客、技術、意思決定が集中していること自体が、組織のリスクです。知識の共有、後継者の育成、顧客関係の複線化を進め、「その人がいなければ仕事が止まる」状態を解消します。
部長が問題行動を容認すると、組織には「数字を出せば何をしても許される」というメッセージが伝わります。短期の数字だけでなく、長期的に成果を出せる組織を守ることも、部長の責任です。
最初の一歩
気になっている人について、「具体的な行動」「周囲や仕事への影響」「確認できた事実」の三つを書き分けてください。人格への印象と事実を分けることが、公正な対応の出発点になります。

